印刷時に表示されるトンボとは
印刷におけるトンボとは、印刷物を仕上がりサイズに合わせて正確に断裁したり、印刷工程で位置を合わせたりするために配置される目印です。
チラシやパンフレット、名刺、冊子、ポスターなど、印刷後に断裁や加工を行う印刷物でよく使用されます。
トンボは単なる目印ではなく、仕上がり位置や塗り足しの確認、色版の位置合わせなど、印刷工程を正確に進めるための役割があります。
トンボにはいくつかの種類がある
トンボと呼ばれるマークには、用途に応じていくつかの種類があります。
代表的なものには、仕上がり位置を示すトリムマーク、裁ち落とし領域を示すマーク、色版の位置を確認するレジストレーションマークなどがあります。
日本式のトンボでは、内側の線で仕上がり位置を確認し、外側の線との間隔を塗り足しの目安として使用することもあります。
また、印刷物の中央位置を確認するためにセンター位置を示すマークが使われる場合もあります。
レジストレーションマークとは
カラー印刷では、一般的にシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックなど複数の色を重ねて印刷します。
レジストレーションマークは、それぞれの色版が正しい位置で重なっているかを確認するためのマークです。
色版の位置がずれると、文字や写真の輪郭に色ずれが発生することがあります。
レジストレーションマークを確認することで、こうした位置ずれを調整しやすくなります。
参考サイト
印刷時にトンボが表示される主な原因
印刷したときにトンボが表示される原因は、大きく分けて「印刷時に追加されている場合」と「元データ自体に含まれている場合」があります。
原因によって消し方が異なるため、まずどの段階でトンボが表示されているのかを確認することが重要です。
アプリケーションの印刷設定でトンボが有効になっている
Adobe IllustratorやAdobe InDesignなどのDTPソフトには、印刷時にトンボやその他のプリンターマークを追加する機能があります。
この設定が有効になっていると、編集画面ではトンボが見えていなくても、印刷プレビューや実際の印刷物にはトンボが表示される場合があります。
このケースでは、元データを編集する必要はありません。
アプリケーション側の印刷設定から、トンボやプリンターマークの設定を解除します。
PDF書き出し時にトンボを付けている
IllustratorやInDesignからPDFを書き出す際に、トンボを追加する設定を有効にしていることがあります。
この場合、作成されたPDFそのものにトンボが含まれるため、PDFを開いた時点でトンボが見えることがあります。
印刷するときだけトンボを追加しているケースとは異なり、PDF側に含まれているトンボは通常の印刷設定を変更するだけでは消せない場合があります。
元データにトンボがオブジェクトとして作られている
Illustratorなどでは、線や図形を使ってトンボを直接作成することもできます。
この場合、トンボは印刷機能によって自動追加されているのではなく、通常のオブジェクトとしてデータ内に存在しています。
印刷設定からトンボをオフにしても消えないため、対象となるオブジェクトやレイヤーを確認する必要があります。
PDF自体にトンボが含まれている
印刷会社への入稿用PDFなどでは、PDFファイルそのものにトンボやプリンターマークが含まれていることがあります。
PDFを開いた段階ですでにトンボが表示されている場合は、印刷時だけ追加されているのではなく、PDF側にトンボが含まれている可能性が高いと考えられます。
この場合は、元のIllustratorやInDesignデータからトンボなしでPDFを書き出し直す方法が確実です。
印刷時のトンボを消す基本的な方法
トンボを消すときは、まず「どの段階でトンボが表示されるのか」を確認します。
編集画面、PDF、印刷プレビュー、実際の印刷物の順番で確認すると原因を切り分けやすくなります。
編集画面でトンボが表示されているか確認する
IllustratorやInDesignなどの編集画面で、すでにトンボが表示されているか確認します。
編集画面上にトンボが存在する場合は、通常のオブジェクトや専用レイヤーとして配置されている可能性があります。
不要であれば、対象オブジェクトを削除したり、該当レイヤーを非表示にしたりします。
ただし、印刷会社への入稿用データの場合は、必要なトンボまで削除してしまわないよう注意が必要です。
印刷プレビューだけに表示されるか確認する
編集画面やPDFにはトンボがないのに、印刷プレビューで初めて表示される場合は、印刷設定によって追加されている可能性があります。
印刷画面にある「トンボ」「トリムマーク」「プリンターマーク」「トンボと裁ち落とし」などの項目を確認します。
不要な設定が有効になっていれば解除します。
Adobe Illustratorで印刷時のトンボを消す方法
Illustratorでは、通常の印刷時とPDF保存時の両方でトンボを設定できます。
どちらで追加されているのかによって、確認する場所が異なります。
Illustratorの印刷設定からトンボを消す
Illustratorから直接印刷するときにトンボが表示される場合は、印刷設定を確認します。
「ファイル」から「プリント」を開き、「トンボと裁ち落とし」に関する設定を確認します。
トリムマークやレジストレーションマーク、カラーバー、ページ情報などが有効になっている場合は、不要な項目を解除します。
その後、印刷プレビューを確認してから印刷します。
IllustratorのPDF保存時にトンボを消す
IllustratorからPDFを保存するときにも、トンボを追加できます。
PDFを開いた時点でトンボが見えている場合は、PDF保存時の設定を確認しましょう。
Adobe PDFとして保存する画面から「トンボと裁ち落とし」の設定を開き、不要なトンボやプリンターマークをオフにしてPDFを作り直します。
参考サイト
Illustrator でプリンターのトンボと裁ち落としを追加する方法|Adobe
Adobe InDesignで印刷時のトンボを消す方法
InDesignでも、印刷時やPDF書き出し時にトンボを設定できます。
InDesignの印刷設定からトンボを消す
InDesignから直接印刷する場合は、「ファイル」から「プリント」を開きます。
続いて「トンボと裁ち落とし」の設定を確認します。
「すべてのトンボとページ情報を印刷」などが有効になっている場合はチェックを外します。
個別にトリムマーク、レジストレーションマーク、カラーバー、ページ情報などが設定されている場合も、不要なものを解除します。
InDesignのPDF書き出し時にトンボを消す
InDesignからPDFを書き出す際にも、「トンボと裁ち落とし」に関する設定があります。
ここでトンボが有効になっていると、書き出したPDFにトンボが含まれます。
不要な場合は設定を解除したうえで、PDFを書き出し直しましょう。
PDFに付いているトンボを消す方法
PDFの場合は、トンボが印刷時に追加されているのか、それともPDF自体に含まれているのかを確認することが重要です。
印刷時だけトンボが表示される場合
PDF自体にはトンボがないものの、印刷プレビューや印刷物にだけ表示される場合は、印刷に使用しているアプリケーションや印刷環境の設定を確認します。
トンボやプリンターマークを追加する設定がある場合は解除します。
PDFを開いた時点でトンボが表示される場合
PDFを通常表示した段階ですでにトンボが見えている場合は、PDF側にトンボが含まれている可能性があります。
このケースでは、元のIllustratorやInDesignデータからトンボなしでPDFを書き出し直す方法が基本です。
元データがない場合は、Acrobat Proなどでページ領域を調整できる場合もあります。
ただし、ページをトリミングしてトンボを見えなくしても、PDF内部のトンボオブジェクトそのものが削除されたとは限りません。
商業印刷に使用するPDFでは、安易にページサイズやページボックスを変更せず、元データから修正する方が安全です。
トンボ以外のマークが表示される原因
印刷物の周囲に表示されるのは、トンボだけとは限りません。
カラーバーやファイル名、日時、ページ番号などが一緒に表示される場合があります。
カラーバーが表示される
カラーバーは、印刷工程でインキ濃度や色の状態を確認するために利用されるマークです。
トンボを消しても色の付いた四角形などが残る場合は、カラーバーの設定が有効になっていないか確認しましょう。
ファイル名や日時が表示される
プリンターマークの設定によっては、ファイル名、ページ番号、日時などのページ情報が追加されることがあります。
トンボだけをオフにしても、ページ情報の設定がオンになっていれば文字情報が残る場合があります。
「ページ情報」などの項目も確認しておきましょう。
トンボと塗り足しの違い
トンボを消すときに注意したいのが、トンボと塗り足しを混同しないことです。
両者は目的が異なります。
トンボは断裁位置を示す目印
トンボは、印刷物をどの位置で断裁するのかを確認するための目印です。
印刷物の外側に配置され、仕上げ作業の基準として利用されます。
塗り足しは断裁ずれによる白い隙間を防ぐための領域
塗り足しとは、背景色や写真などを仕上がりサイズより外側まで伸ばしておくことです。
断裁位置にはわずかなずれが発生する可能性があります。
背景や写真を仕上がり位置ぴったりまでしか配置していないと、断裁時のずれによって紙の白色が見えてしまうことがあります。
そのため、紙の端まで色や写真を入れるデザインでは、仕上がり位置より外側まで絵柄を伸ばしておきます。
トンボを消しても塗り足しは残す場合がある
トンボが不要だからといって、塗り足しまで削除してよいとは限りません。
印刷会社への入稿では、「トンボなし・塗り足しあり」のPDFを求められるケースもあります。
そのため、トンボと塗り足しは別々に考える必要があります。
塗り足しは3mm程度が使われることが多いものの、必要な幅は印刷会社や商品によって異なります。
必ず入稿先のデータ作成ガイドを確認してください。
トンボを消しても問題ないケース
断裁や後加工を行わない通常の文書印刷では、基本的にトンボは必要ありません。
たとえば、A4サイズの資料をA4用紙にそのまま印刷する場合などです。
家庭用プリンターやオフィスプリンターで一般的な資料を出力するだけであれば、トンボをオフにして問題ないケースがほとんどです。
ただし、家庭用プリンターであっても、名刺やカードなどを印刷後に自分で裁断する場合には、裁断位置の目印としてトンボを使用することがあります。
トンボを勝手に消さない方がよいケース
印刷会社へ入稿するデータの場合は、自己判断でトンボを削除しない方が安全です。
印刷会社や入稿方式によって、必要なデータ形式が異なるためです。
印刷会社によって入稿ルールが異なる
印刷会社によっては、トンボ付きデータを求める場合があります。
一方で、PDF入稿ではトンボ不要とし、仕上がりサイズと塗り足しだけを指定しているケースもあります。
また、PDF/Xなど特定のPDF規格や専用テンプレートを指定している場合もあります。
そのため、「印刷会社に出すデータには必ずトンボを付ける」とは限りません。
必ず利用する印刷会社の入稿ガイドを確認しましょう。
トンボが消えないときの確認ポイント
設定を変更してもトンボが消えない場合は、表示されるタイミングを確認すると原因を特定しやすくなります。
編集画面からすでに表示されている
編集画面でトンボが表示されている場合は、オブジェクトやレイヤーとして配置されている可能性があります。
PDFを書き出すと表示される
編集画面では表示されないものの、PDFを書き出したあとに表示される場合は、PDF書き出し時のトンボ設定を確認します。
印刷プレビューで初めて表示される
PDFや編集画面には存在せず、印刷プレビューで初めて表示される場合は、印刷設定でトンボやプリンターマークが追加されている可能性があります。
PDFを開いた時点ですでに表示されている
PDFを開いた段階ですでにトンボが見える場合は、PDF側に含まれている可能性が高くなります。
元データがある場合は、トンボなしの設定でPDFを書き出し直す方法が確実です。
印刷時のトンボを消すときは原因を確認してから対応する
印刷時にトンボが表示される原因は、IllustratorやInDesignなどの印刷設定、PDF書き出し設定、元データのオブジェクト、PDF自体に含まれるプリンターマークなどさまざまです。
トンボを消したい場合は、まず編集画面、PDF、印刷プレビューのどの段階で表示されているのかを確認しましょう。
印刷時だけ表示される場合は、アプリケーションの「トンボ」「プリンターマーク」「トンボと裁ち落とし」などの設定を解除することで消せる可能性があります。
一方、PDFを開いた時点ですでにトンボが表示されている場合は、元データからトンボなしのPDFを書き出し直す方法が確実です。
また、トンボと塗り足しは別物です。
トンボを消す場合でも、印刷物によっては塗り足しを残す必要があります。
特に印刷会社へデータを入稿する場合は、トンボの有無や塗り足しの幅を自己判断せず、入稿先のデータ作成ルールを確認したうえで対応することが重要です。
以上、印刷時のトンボを消す方法や表示される原因についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
